ロマノフ王朝時代にこの原石が採掘されていたら、間違いなく私たちは目にすることができなかったでしょう。
王侯貴族も手にすることのできなかった稀有な1ピース。
1853年頃、ロシアの中央ウラル山脈にあるElizavetinskoye村で、輝きの強い濃いグリーンのガーネットが発見されました。
それはダイヤモンドのような美しい輝きがあったため、デマントイド(Demantoid)つまり“ダイヤモンド(オランダ語でDemant)に似た”という名前が付けられました。
デマントイドガーネットはガーネットグループの分類でアンドラダイトに属しているのですが、ガーネットグループでは、最高の屈折率を誇り、屈折計では計測不能なほどです。
またデマントイドガーネットは非常に高い分散率を有しているため、ギラリギラリと強く輝きます。
その鮮やかな色からデマントイドガーネットは、ロシアの宮廷ジュエリーとしてもてはやされ、1875年頃からロシア革命によりロマノフ王朝が崩壊する1917年まで、王族や貴族の身につける宝飾品を彩りました。
ロシア革命後にロマノフ王朝が滅んだ後、デマントイドガーネットの採掘は途絶えましたが、2002年にSissertsk地域Kladovkaの再開発がはじまり、再びデマントイドガーネットは採掘されるようになりました。
ウラル産デマントイドガーネットに見られるインクルージョンは、馬の尻尾のように見える事から“ホーステール・インクルージョン”と呼ばれます。
このユニークな内包物は世界中でもロシア産デマントイドガーネットにしか含まれていないのです。
稀にみるホーステールインクルージョンは、一転を軸に横に吹き流しのように放たれるのですが、この1ピースのデマントイドガーネット、センター中央、ルース底からまるで花火が打ち上げられたかのように華やかに、勢いよく、ものすごい量感を持って放たれるのです。
ルーペでのぞくと確認することのできるようなものではなく、肉眼で、はっきりとその勢いあるホーステールが沸き上がる、その状態を目視できる。
ロマノフ王朝時代にこの原石が採掘されていたら、間違いなく目にすることのできなかったピース。
王侯貴族も目にすることのなかったピースを、今ここで手のできる機会が現れたのです。
■スペック 宝石名:デマントイドガーネット 幅×厚:約10.8×6.9mm 重量:約5.86ct カット:ラウンド 硬度:7-7.5 ■備考: ※加工をご要望の際は、お気軽にお問い合わせ下さい。